突然ですが、あなたは腰痛や膝などの関節が痛いとき、冷やしますか?温めますか?
おそらく、多くの人が冷やすために湿布を貼るのではないしょうか。
でも実は、湿布などで患部を冷やすと逆効果なので、腰痛や膝などの関節が痛いときは、冷やすよりも温めた方が良いです。
従来の日本の常識では「痛みは冷やす」とされてきましたが、これからの新常識は「痛みは温める」となっていきます。
なぜ温めたほうが効果的なのかは、痛みのメカニズムを知ればすぐにわかります。
今回はそのメカニズムを詳しく解説していくので、ぜひ患部を温かくしてご覧ください!
「原理とかメカニズムはいいからとにかくやり方を教えて!」
という方は、こちらをご覧ください!
目次
「体を温める」温熱療法は体のあらゆる症状を改善できる
痛みのメカニズムを見る前に、まずは温熱療法が何に効果的かをご説明します。
体を温めて痛みを改善する温熱療法は、腰や膝の痛みや肩こりなどにも効果的です。
腰・膝・股関節などの関節の痛みはもちろんのこと、肩こり、頭痛、腱鞘炎、しびれなどの体中の痛みを軽減してくれます。
具体的には
- 変形性膝関節症(膝関節の軟骨がすり減り、痛みが生じる)
- 変形性股関節症(股関節の軟骨がすり減り、痛みが生じる)
- 椎間板ヘルニア(背骨でクッションの働きをする椎間板が飛び出し、痛みが生じる)
- 脊柱管狭窄症(背骨にある脊柱管という管が神経を圧迫して痛みが生じる)
などの痛みの緩和が可能です。
まずは腰や膝の痛みが起こるメカニズムを知っておこう!
温めることによって腰や膝の痛みが軽減できる理由は、簡単に言うと「血行が良くなるから」です。
「なぜ血行が良くなると痛みが引くの?」
ということをより理解するために、まず痛みが生じるメカニズムを知っておきましょう!
関節の痛みと血の巡りには深い関係があるので、しっかりとご説明します。
しばしお付き合いくださいね。
腰や膝の痛みは体を治すときに生じる副産物である
実は、痛みには2つの種類があります、
ひとつは、体の限界や故障を知らせる痛みです。
もし痛みを感じなければ、毎日気づかないうちに何十箇所も骨折してしまい、生きていくのは困難になってしまうでしょう。
痛みがあれば、人はそれ以上無理をしてはいけないととどまることができます。
また、痛みがなければその骨折に気づくことができずに悪化させてしまいます。
痛みがあることで体の異常を知り、治療に専念することができるのです。
もうひとつが、体のダメージを治すための痛みで、今回取り上げる腰や膝の痛みは、こちらのタイプのものです。
この痛みは、ケガやストレス、間違った生活習慣によって血の流れが悪くなり、ダメージを受けた体が、そのダメージを治そうとするときに発する痛みです。
このとき、血流を促進してくれる働きを持つホルモンの「プロスタグランジン」が増えて、結果的に「炎症」という現象を起こします。
この炎症による痛みが関節の痛みの正体であり、炎症は体のダメージを修復している証拠なのです。
腰痛や膝痛などの炎症はダメージの修復作業をしている証
ダメージにより血行が悪くなると、そのダメージを治そうとして、血の流れを良くする「プロスタグランジン」というホルモンが増えます。
その結果として「炎症」という症状が出るのですが、炎症と聞くと普通は「すぐに炎症を抑えないと」や「炎症は悪い」と目のかたきにされがちです。
確かに炎症は痛みを伴う不快な現象ではありますが、体のダメージを治すためには必要不可欠な体の治癒反応なのです。
ダメージを受けてから、治すまでのプロセスの間に痛みが生じる段階があります。
その流れを簡単に説明すると以下のようになります。
- ケガや悪い生活習慣により、血の巡りが悪くなる
- 血の巡りが悪くなり、体がダメージを受ける
- ダメージを修復するために、プロスタグランジンが増える
- プロスタグランジンが血の流れが良くし、その結果として炎症が起こる
- 炎症により痛みや腫れが生じる
- ダメージを治し、血の流れが戻り、痛みや炎症が引く
このうち、4や5のプロセスが、人を痛みで困らせる段階だということがわかりますね。
言い換えれば4や5の段階は、「体の修復作業中」ということになります。
したがって、修復作業を応援するためにも体をあためて血行を良くすることが、痛みを効果的に治める方法なのです。
気をつけて!炎症を冷やすと痛みは治まるがダメージは残ったまま?!
炎症が起きるとどうしても「早く炎症を消さなければいけない」と焦って、湿布などで冷やしてしまう人が多いのではないでしょうか。
この行為は、せっかく体が血流を良くしてダメージの修復をしてくれているのに、その修復作業を無理やり中断させてしまうことになるのです。
この場合、修復作業中である炎症は中断されて痛みは引きますが、ダメージは残ったままになってしまいます。
湿布にはフェルビナクやインドメタシン、ケトプロフェンなどの強力な消炎鎮痛剤が含まれています。
消炎鎮痛剤がプロスタグランジンのはたらきを阻害し、血の流れを低下させることによって炎症を抑えます。
これは温湿布も例外ではありません。
温湿布にはトウガラシの成分で有名なカプサイシンなどの刺激成分が含まれており、皮膚の表面を温めてくれます。
しかし、消炎鎮痛剤により血の流れを低下させるので、そこに温熱療法の効果はありません。
血行の促進と同時に、血液の質を高めよう
血行を促進することも大切ですが、同時に「血液の質」も高めることが大事です。
いくら血の巡りが良くなっても、そこに含まれる白血球などの血の成分の元気がなければ意味がありません。
例えば、血液に含まれる白血球の働きは、免疫において他に代えられない大切な仕事をしています。
白血球は冷やされると、動きが鈍くなってしまったり、止まったりしてしまい、その役目を果たすことができません。
これでは、白血球の本来の役割である、体を細菌やウイルスから守ることができなくなってしまいます。
さらに、バイ菌などの体に悪い菌を退治しきれずに、バイ菌を抱え込んだまま体中を駆けまわることになり、体中にバイ菌を撒き散らす危険性があります。
体を冷やすということは、血液にとってはまさに百害あって一利なしということでしょう。
血行を促進させるには体を温めますが、血液の質を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
それは、正しい生活習慣を心がけることです。
温めることによって血液の循環を促進させ、生活習慣を正すことによって血液の質を高めることができます。
まとめ:痛みをやわらげるために体を温めよう!
体を温めることは、関節だけではなく体のあらゆる不調を整えてくれます。
その中のひとつの効用として腰痛や膝痛の痛みを軽減してくれる働きがあるのです。
体の不調は血行の悪さからきていることが多く、血行を促進するためには体を温めるだけでよいので、誰にでも簡単にできる治療法としておすすめできます。
食生活や生活習慣を少し変えるだけで、血液の質も量も高めることができます。
血行を促進する温熱療法や、血液の質を高めるための生活習慣も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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