膝の痛みにグルコサミンサプリは無意味?副作用は?科学的データをまとめてみた!

「腰痛・膝の痛みにサプリメントは本当に効くのか?効かないのか?」

という疑問に対する答えは、結論から言うと「多くの場合、痛みを改善できる」です。
関節サプリメントの効果については、世界各地で効果的だという研究データが報告されています。

まず、腰痛・膝の痛みに効くサプリメント、すなわち関節サプリメントに入っている主な成分を挙げてみましょう。


  • グルコサミン
  • ヒアルロン酸
  • コンドロイチン
  • MSM
  • コラーゲン
  • プロテオグリカン
  • 西洋ヤナギエキス
  • iHA

などなど、様々な成分が配合されています。
これら全ての成分が一つのサプリメントに配合されているわけではなく、この中から製品ごとに1~4種類ほどの成分が様々な組み合わせで配合されています。

この中でも、もっとも有名で膝の痛みに効果的といわれているのがグルコサミンです。
グルコサミンは関節サプリメントのほぼ全てに配合されているので、「関節サプリメント=グルコサミンサプリメント」と考えてよいでしょう。

今回は、そのグルコサミンの効果について解説していきます。

グルコサミンのリピート率は高く、効果を実感している人が多い

ヨーロッパでは昔から、グルコサミンは変形性関節症の痛みをとる「治療薬として」用いられてきました。

日本でグルコサミンブームが訪れたときは、健康食品、栄養補助食品としては珍しく即効性があるとして大人気になりました。
そしてその人気は今日でも続いています。
今でもグルコサミンが廃れることなく、消費者の支持を受け続けていることが、一過性のブームではなく、グルコサミンが実際に有効であるということのひとつの証明ともいえるのではないでしょうか。

そして、人気の特徴といえば、リピート率が非常に高いことです。
つまり、一度買って飲んだ人が効果を実感し、続けて使うケースが多いということです。
グルコサミンの効果を実感している人が多いからこそ、高いリピート率を誇っていると考えられます。

米国の学会でもその効果が認められている

サプリメント大国アメリカでも、グルコサミンの効果が報告されています。

カルフォルニア州のアナハイムで開かれた全米整形外科科学会では、テキサスのある整形外科の医学博士がグルコサミン療法に関する研究成果を報告し、「われわれ整形外科医も、もっと注目すべきだ」と発言しました。
サプリメント大国アメリカの整形外科医までもがその効果を認めています。

また、全米整形外科学会はグルコサミン療法を「変形性関節症の新治療法」と報告しています。
アメリカの変形性関節症患者の間では、整形外科的な治療以外の代替療法に関心が高まっています。
代替療法とは、具体的にはサプリメント、カイロプラティック、マッサージ療法のことです。
サプリメントを使用した49%が「グルコサミン・コンドロイチンサプリメントによって治癒した」と信じているというデータもあるほどです。

世界各地で行われた研究・調査データまとめ

グルコサミンの効果に関する研究は世界各地で行われてきました。

その多くが効果的だという見方の結果が出ていて、非常に期待が持てます。

その研究データの一部をここでご紹介します。

ポルトガルでの比較実験

この実験は、変形性膝関節症患者に実際に用いられている「イブプロフェン」という治療薬とグルコサミンとの比較実験です。

実験内容

変形性膝関節症患者を2つのグループに分けて、一方のグループには変形性膝関節症治療で実際に使われる薬である「イブプロフェン」を1日1.2グラムを、もう一方のグループにはグルコサミンを1日1.5グラム経口投与しました。
その後8週間にわたって、膝の痛みに対する改善効果を観察しました。

実験結果

  • 投与を始めて2週間たった時点では、イブプロフェンを与えたグループに有効性が見られた
  • しかし2週間以降は、グルコサミンを与えたグループに高い改善効果が認められた
  • イブプロフェンは投与開始から2週間は効果があったものの、その後は下降線をたどった
  • グルコサミンは2週間以降も効果は持続し、8週間後の実験終了時でも高い効果が発揮されていた
  • イブプロフェンの効果範囲は痛みだけだったのに対して、グルコサミンの効果範囲は痛みや腫れにも改善が認められた

考察

イブプロフェンは変形性膝関節症の初期から中期にかけて使われる薬だが、その効果は長続きはしませんでした。
さらにイブプロフェンの長期にわたる服用は副作用を引き起こす危険性もあるので、この結果からもわかる通り、長期の服用には向いていません。

ポルトガルでの実験2

こちらもポルトガルでの実験です。
ポルトガルでは、約250人もの医師が参加してグルコサミンの変形性膝関節症に関する効果のテストが行われました。
変形性膝関節症とは、膝の関節軟骨がすり減り、骨と骨とが直接こすれあうことによって痛みが生じる病気です。

実験内容

合計120人の変形性膝関節症患者を対象に、36日間から60日間、1日1.5グラムのグルコサミンを3回に分けて投与しました。

実験結果

  • 痛みは着実に改善された。
  • 患者の95%に「十分効果あり」または「良好」という臨床結果がでた。
  • グルコサミンは長期間にわたって効果を発揮することが明らかになり、テストが終わったあとも6~12習慣ほど効果が持続した。
  • ごく一部の患者に副作用が出たが、主には下痢で1~3週間で治った。

オーストリアのウィーンで発表された実験

1999年9月にオーストリアのウィーンで開催された国際変形性関節学会で発表された驚くべき内容に、世界中の関心が集まりました。

実験内容

変形性膝関節症の監査を216人を対象に行われました。
半数ずつ2グループに分けて、一方の106人にはグルコサミンを、残りの106人にはプラセボ(偽薬)を、それぞれ3年にわたって投与し続けました。

3年後、患者別にレントゲン写真を数値化し、軟骨がどのように変化したかを調べました。

実験結果

  • グルコサミンを摂取したグループは、3年間も軟骨の摩耗が止まっていた。
  • 一方のプラセボ(偽薬)のグループは、3年前と比べて軟骨の摩耗が進んでいると診断された。
  • グルコサミンを摂取したグループの約70%が改善効果を得られたという評価を示した。

考察

変形性関節症は進行性の病気です。
進行する速度は人によって差がありますが3年もの間、放置していて同じ状態に停滞していたとは考えにくいです。

プラセボグループの進行度の様子こそ自然な状態であり、それと比較して考えると、グルコサミンが症状の悪化を妨げていた、もっと言えば、摩耗する分の軟骨を再構築してプラスマイナスゼロに保っていたとも考えられます。

アンケートによる調査

調査内容

1999年12月、グルコサミンおよび関節痛についてのアンケート調査が行われました。
約1400通のアンケート用紙を、グルコサミン製品に同封、また無作為抽出で郵送した結果、101通が解答された状態で返送された。

調査結果

  • 関節痛のある部位はどこかという質問に対しては、膝がもっとも多く、次に腰が多かった。
  • 効果の実感に関する質問に対しては、全体の90.3%が「効果あり」と回答し、改善効果を認めている。
  • グルコサミンを飲み始めて効果が現れた期間はどのくらいか、という質問に対しては、21~30日が12人、1~3ヶ月が30人、3ヶ月以上が24人だった。

考察

やはり関節の痛みを感じる場所は、膝が圧倒的に多いですね。
また、グルコサミンは普通、摂りはじめて2~3ヶ月で効果が現れるとされているので、ほぼほぼ同じような結果が現れています。

日本の聖マリアンナ大学難治病研究センターの臨床試験

36人の変形性関節症患者を対象に臨床試験を行い、92.1%が服用後「よかった」と回答している。

効果が認められなかった臨床試験

もちろん効果が認められなかったと報告している臨床試験もあります。

どちらの情報も参考にして判断しましょう。

内容

この臨床試験は、まだ変形性膝関節症を発症していない、肥満の中年女性を対象としたものです。
肥満は変形性膝関節症のもっとも大きな要因なので、発症する確立が高いハイリスクな人が対象ということです。

407人の50~60歳の女性を2つのグループにわけます。

片方のグループはダイエットと運動をしてもらうグループ、もう片方のグループはそれらをしないグループで、その両方のグループには、グルコサミン(またはプラセボ)を毎日1500㎎飲んでもらいました。

結果

  • 2.5年の期間で、副作用が発症したのはプラセボを服用したグループとほぼ30%前後でほぼ変わりない。症状は疲労、胃痛、腸の不快感など。
  • どちらのグループもグルコサミンを摂取した人とプラセボを摂取した人の、変形性膝関節症の発症率に差は見られなかった。
  • 「ハイリスクな場合、変形性膝関節症を予防する効果は認められなかった」と報告された。

参考:変形性膝関節症へのグルコサミン内服、初のRCTでは予防効果得られず

考察

肥満は変形性膝関節症のもっとも大きな要因です。

グルコサミンを飲むだけでは効果が認めらない場合もあるので、大事なのはバランスです。

運動、食事のバランスをしっかりとることが、予防・改善の第一歩です。

膝に痛みを感じるならサプリメントを試す価値あり

他にも様々な実験や調査が行われていますが、そのほとんどで良い結果が出ています。
膝の痛みに対して絶対の効果があるとは言い切れませんが、実験データを見る限り試す価値はありそうです。

関節サプリメントには数多くの製品が売りだされています。
そのすべてが、膝や腰などの関節の痛みに対するサプリメントですが、ひとつひとつに特徴があります。
というのも、さまざまな成分が、さまざまな組み合わせで配合されていて、サプリメントごとに向いている人と向いていない人がいます。

その辺りをしっかりと判断して、自分にピッタリのサプリメントを選ぶことに注意してください。

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