膝の痛みの原因と対処法・治療法をまとめて徹底解説!

突然ですが、あなたは以下の動作を問題なく行えているでしょうか?


  • 立つ
  • 歩く
  • 走る
  • 飛ぶ
  • 蹴る
  • 座る
  • 押す
  • 引っ張る

あなたが、こうした動作を自由に行えるのは、ひとえにすべて関節のおかげです。
もし、痛みなどがあり自由に行えていないのならば、もしかすると関節に存在する「軟骨」に問題が生じているかもしれません…!

関節の表面にある軟骨は、年齢とともにすり減っていきます。
軟骨がすり減ると、クッションの役割を果たせなくなり痛みが発生し、以下の症状があらわれてきます。


  • 立ったり座ったりという動作が辛くなる
  • 階段の上り下りが辛くなる
  • 関節を押さえたり動かしたりすると痛みを感じる
  • 関節から音が鳴ったり、こわばったりする

これらの症状がある人も、今はない人も、膝の痛みのためにできる対策・予防は同じです。

確かに、ひざの痛みで悩む人は高齢者の方に多いです。
しかし、だからと言って「歳だから仕方ない」と諦めることはありません。

年齢を重ねるとひざが痛くなりやすいのは事実ですが、その痛みが悪化するかしないかは本人の対策次第です。
大事なのは、正しい知識を持って「今から対策を始める」ということです。
膝痛対策に遅いということはありません、このページを参考に「今から」対策をはじめましょう。

まず対策を知る前に、まずひざが痛くなる原因を知っておきましょう。
原因を知り、意識することによってより効果的に対策ができます。

ひざが痛くなる根本の原因は「軟骨のすり減り」

人類が歩きはじめてから、悩まされてきた病気の代表が膝の痛み、つまり関節症です。

膝に痛みをもたらす病気は、ゆうに100種類を超えて存在しています。
その中で、もっとも発症率が多いのが「変形性膝関節症」という病気で、発症する確率は高齢になればなるほど、高くなっていきます。

膝の痛みでもっとも辛いのは、痛みによる苦しみです。
放っておくと歩くことができないほどで、運動ができなくなり、筋肉が落ちて、さらに動けなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

この変形性膝関節症は軟骨がすり減ることによって起こる病気です。

ではなぜ、軟骨はすり減ってしまうのでしょうか?

軟骨をすり減らせる7つの要因まとめ

実は軟骨がつねにあなたの体のために一生懸命働いているのをご存知でしょうか?

軟骨は、骨と骨との摩擦を最小限にすることで、関節にかかる運動の衝撃を和らげています。
つまり、軟骨は骨と骨の間のクッションのような働きをしているということです。

この軟骨がすり減る要因を知って、対策をすることにより、少しでも軟骨のすり減りを抑えることが対策の一つとなります。

軟骨をすり減らせる要因が以下の7つです。


  1. 老化現象
  2. O脚がひざの軟骨を極端にすり減らせる
  3. 肥満がひざ関節に負担をかける
  4. 姿勢の悪さ
  5. 座るときは常に正座をする
  6. 筋肉の衰え
  7. 運動やケガによる膝の痛み

上記のように普段の日常生活のなかにも、軟骨をすり減らせてしまう習慣があるので、そのような習慣をしていないか注意してみましょう。

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それでは各要因について詳しく解説していきますね。

【軟骨がすり減る要因】
1.老化現象

歳をとると髪の毛が薄くなったり、白髪が生えてきたり、肌にシワができますよね。それと同じように、ひざや軟骨の組織も老化現象を起こします。

もう少し詳しく説明すると、若いときには軟骨を生成するスピードが早かったものの、歳をとると生成スピードがすり減るスピードに追いつかなくなってしまう、ということです。

【軟骨がすり減る要因】
2.O脚がひざの軟骨を極端にすり減らせる

実は、日本人の8割がO脚と言われています。
もしかしたらあなたもその一人かもしれません。

O脚とは、直立の姿勢のときに膝と膝がくっつかず、O字型になっている状態を指します。

ひざ関節や股関節、足首などの位置が正常であれば、体の重みを膝の中心でバランスよく支えられます。
しかし、O脚だとひざの骨が内側にずれてしまい、ある一部だけに極端に圧力が加わってしまいます。

その結果、ひざ関節の内側の軟骨だけがすり減って、炎症を起こし、これがさらにO脚を進行させるという悪循環に陥ってしまいます。

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【軟骨がすり減る要因】
3.肥満がひざ関節に負担をかける

肥満はひざ関節の大敵です。

ひざ関節はつねに全体重を支えている部分なので、その負荷である体重が重ければ重いほど軟骨がすり減りやすいのは当然です。

膝や足などの下半身は、つねに体重を支えているので、立ったり座ったりする場合は、体重の5~8倍もの負荷が関節にかかります。
階段を上り下りする場合においては、体重の10倍もの負荷が関節にかかると言われています。

【軟骨がすり減る要因】
4.姿勢の悪さ

悪い姿勢は体全体にとってよくないことですが、ひざにとっても悪い影響を与えます。

歳をとって足腰の筋肉が弱くなると、背中を丸め、軽く膝を曲げた状態が楽な姿勢になるが、これはひざにとっては楽ではありません。
これはひざや足のつけ根に過度の負担をかけることになっています。

また、同じ姿勢を長時間続けることも関節に悪影響を及ぼします。
仕事や趣味に没頭し、気がついたら何時間も過ぎていた、ということはありませんか?
これもひざに負担になっているので、ときどき休憩をしたり、散歩をするなど、リフレッシュしましょう。

【軟骨がすり減る要因】
5.座るときは常に正座をする

日本の生活習慣のなかにも、ひざに悪い影響を与える習慣があります。

それが、正座です。
ひざを極限まで曲げる正座は、ひざに大きな負担をかけます。

ひざに痛みがあるときは絶対に正座はしないでください。
また、痛みがなくとも、長時間の正座はなるべく避けてください。

【軟骨がすり減る要因】
6.筋肉の衰え

ひざが痛くなると、歩くのが辛いので歩かなくなります。
歩かなくなるとさらに太ももの筋肉が痩せて足が細くなり、力が衰えます。

そうなると、さらに歩いたり階段を上り下りするのが辛くなるという悪循環に陥ってしまいます。
ただでさえ高齢になるにつれて筋肉が衰えるので、それが拍車をかけることになります。

ひざは大腿四頭筋や大腿二頭筋などの筋肉によって支えられています。
その筋肉が衰えてしまうと、それだけ膝の負担も増えることになります。
ひざの健康は、筋肉を鍛えることから考えなければなりません。

【軟骨がすり減る要因】
7.運動やケガによる膝の痛み

筋肉を鍛えることが大事といいましたが、ひざを酷使するような激しいスポーツはご法度です。

また、同じような動作をひたすら繰り返したり、交通事故、若いときのひざの骨折や靭帯・半月板損傷などが原因で、中高年になってからひざが痛くなることもあります。

これは、ケガのあとに何らかの形で、骨に負担がかかり、軟骨がすり減りやすくなってしまったり、骨が変形したりするからです。

ひざの痛みは放っておくとどんどん進行する

ひざに痛みをもたらす病気の中でもっとも多いのが「変形性膝関節症」です。
この病気は、ある日突然に発症したり急激に悪化する病気ではありません。

そして、安静にしていたり放っておいても決して自然には治りません。
むしろ、変形性膝関節症は放っておくとどんどん進行する性質の病気です。

その進行度を大きく分けると、「初期」「中期」「末期」の段階にわけることができます。
では、進行度を詳しく解説していきます。

初期 – 自覚症状はまだない

初期状態では朝、目が覚めたときや、しばらく動かなかったあとに動こうとするときに、関節にこわばりを感じることから違和感を感じ始めます。
しかし、これは一時的なもので、動きはじめて少し経てば治るので特に気にしないで過ごしてしまうことが多いのです。

やがて、こわがりに痛みが加わるようになり、これまで朝や動き始めだけだったものが日中や夜にも感じるようになります。

初期状態の関節では、軟骨の表面がギザギザにすり減り始めた状態です。
この軟骨のギザギザがこすれ合って痛みが生じています。

中期 – 常に痛む慢性状態になる

初期よりも強い痛みが生じるようになり、さらにそれが常に痛むことによって一日中悩まされる慢性状態に進行します。
患部のひざ関節を動かそうとすると、ギシギシときしむような音が鳴ったり、ひっかかり感が生じてきます。

中期になると、ひざに水がたまったり、見た目にも腫れやむくみがわかるようになります。
そしてようやくここで「思ったより状態が悪い」と自覚し、あわてて病院へ行く人が増えてきます。

末期 – 骨が変形し、痛みにより動けなくなる

中期よりも激しい激痛が続き、見た目にも変形が目立つようになると、末期の状態の可能性が高いです。
末期では、正座はできないのはもちろんのこと、歩くことも困難になってきます。

ひざ関節では、軟骨がすり減り、ほとんど無くなってしまっています。
この状態だと、骨と骨とが直接こすれあい、激痛が走ります。

変形性膝関節症が進行するスピードは個人差が大きく、数週間で悪化する人もいれば、数年かけて悪化する人もいます。

日常生活で心がけたい膝の痛み対策5選

ここまで、ひざの痛みの原因と、痛みを放っておくことの危険性をお話しました。
ひざの痛みを感じる人も、感じない人も、軟骨がすり減ってしまう要因を日常生活から除いていきましょう。

日常生活で心がけたい膝の痛み対策が以下の5つです。


  1. 初期段階で改善するための簡単ケア
  2. 関節の負荷を減らすために、体重を落とす
  3. 関節にやさしい適度な運動をする
  4. 関節・骨に必要な栄養素を積極的に摂取する
  5. 自分に合った寝具で、しっかりと休息をとる

ここからは、ひざの痛みに対して具体的にどのような対策をすればよいのかを解説していきます。
日常生活で実践できる対策なので、やはり「今から」始めることが大切です。

それではひとつひとつ詳しく解説していきますね。

【膝痛対策】
1.初期段階で改善するための簡単ケア

関節に違和感を感じたときには、すでに軟骨はすり減り始めています。
そうした初期段階で進行を食い止め、少しでも改善することが大切です。

座った状態から立ち上がるときには、軽い屈伸運動を10~15回ほどしてから立つようにしてください。
こうすることによって、ひざや足首の準備運動になり、こわばった関節が動きやすくなります。

また、サポーターなどの装具をつけることもおすすめです。
ひざにサポーターをつけると、体重を支えることをサポートしてくれるので、予防のためにもつけている人は多いです。

【膝痛対策】
2.関節の負荷を減らすために、体重を落とす

これは単純明快です。
肥満はひざ関節の大敵なので、すこしでも体重を落としてひざへの負担を軽くしましょう。

体重を減らすだけで進行を遅らせたり、症状が緩和することもあります。
今より3キロ落とすだけでも、体感として楽になることを感じられるはずです。

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【膝痛対策】
3.関節にやさしい適度な運動をする

健康のために必要な3つの要素は、運動・栄養・休息の3つです。
そのうちの一つである、運動は関節にとって非常に重要な対策となります。

関節の中にある軟骨は、クッションのような役割をしていることは説明しました。
もう少し詳しく説明すると、軟骨はスポンジのようになっていて、関節を曲げると軟骨はギュッと圧縮されて関節の中にある「滑液」という液体を吐き出します。
逆に関節を伸ばすと、滑液を吸い込んで膨らみます。

ちょうど、水の中でスポンジをギュッと握ったり、はなしたりするようなイメージです。

このようにして軟骨は、関節にかかる負担を和らげています。
つまり、軟骨が滑液を吸っては吐いてを繰り返してなめらかな状態を保つためには、適度に関節を使って動かす必要があるのです。

また、運動をすることによって、筋肉が鍛えられ、そして柔軟になります。
筋肉が柔軟になると、ひざにかかる負荷を筋肉がうまく分散し、和らげてくれるので、適度な運動は必須なのです。

しかし、ひざが痛いと運動どころではないです。
そこで次の対策がカギとなります。

【膝痛対策】
4.関節・骨に必要な栄養素を積極的に摂取する

関節や骨にとって必要な栄養素をしっかり補給することもひざの痛みを予防・改善するうえで大切です。

必要な栄養素は、グルコサミン、カルシウム、ビタミンC、ビタミンDなどです。


1.グルコサミン

グルコサミンは、ひざの痛みについて調べたことがある人は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
関節サプリメントに必ずと言っていいほど配合されている成分です。

グルコサミンは軟骨の生成に寄与するので、ひざの痛みを改善すると言われています。
また、関節サプリメントには痛みの伝達経路を遮断してくれる成分が入っているものもあるので、そういったサプリメントを摂りつつ運動することが推奨できます。

グルコサミンは食べ物から摂取することが非常に難しい成分なので、サプリメントを上手に使って補うのがいいかもしれません。

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2.カルシウム

カルシウムは、単純に丈夫な骨をつくるために必要な栄養素です。
不足すると、骨が弱くなり、腰痛、肩こり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。
女性は歳をとると、骨が弱くなりがちなので、しっかりと摂っておきたい栄養素ですね。

カルシウムが多く含まれている食品は、牛乳や乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆食品などです。

3.ビタミンC

ビタミンCは、軟骨の4つある構成成分のうちの2つ、プロテオグリカンとコラーゲンの生成を助けてくれます。

さらにグルコサミンの吸収も助けて効果を高める作用もあります。
グルコサミンサプリメントにはビタミンCを配合しているタイプもあるので、サプリメント同時に摂取することができます。

4.ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムが骨に吸着するのを助けています。

したがって、どんなにカルシウムを摂っても、ビタミンDがなければ骨に吸着されにくく、効果的に作用してくれません。

また、血液や筋肉などにカルシウムが欠乏しないように管理もしています。


上記のような栄養素をできるだけ取り入れて関節に優しい食事を心がけましょう。
食事だけでは難しい場合は、サプリメントなどを上手に使って補うのがおすすめです。

【膝痛対策】
5.自分に合った寝具で、しっかりと休息をとる

運動して、栄養を補給したら、最後に忘れてはいけないのは休息です。
よく食べて、よく運動して、よく寝ることが健康への道と言えるのではないでしょうか。

睡眠において気をつけたいのが寝具選びです。
自分に合っていない寝具をつかって寝ていると、関節に負担がかかってしまいます。
朝目が覚めたときに体が痛かったら、寝具が体に合っていないのかもしれません。

いちばん重要な寝具というのは、敷布団です。
マットレスが柔らかすぎると、重みのある腰などが部分的に深く沈み込み、腰痛などを悪化させてしまうかもしれません。
逆に固すぎても、背骨の自然の湾曲を無理やり引き延ばす形になってしまいます。

理想的なマットレスというのは、人によって異なります。
というのも、人の本来的な自然な姿勢はひとりひとり異なります。
起きたときに「気持よく熟睡できた」と感じれるものが、その人にあったマットレスということです。

良いマットレスに共通することは、適度な固さで体圧をバランスよく分散してくれるものです。
寝姿勢が安定し、全身の筋肉の緊張をほぐしてくれるようなマットレスを選びましょう。

病院で受けられるひざ痛治療

現在、整形外科で受けられるひざの痛み(変形性膝関節症)に対する治療法は、大きく分けて3つあります。

注射や薬で痛みを取り除く「薬物療法」、温めたり冷やす、または運動による治療などの「物理療法」、そして人工関節置換などの「外科的治療」です。

実際には、状況や症状に応じていずれかの療法を使います。

薬物療法

薬物療法は、もっとも用いられていて、ひざの痛みを素早く取り除くことができます。

関節へ直接注射するので、即効性があります。


1.ステロイド剤の注射

ステロイド剤は1970年代まではよく使われていました。
しかし、副作用が強いうえに効果もそれほどなかったためにいまはあまり用いられることはありません。

医師がステロイド剤を使おうとするなら、もう一度説明を求めて、よく話し合ってみてください。

2.ヒアルロン酸注射

ステロイド剤の代わりに用いられるようになったのが、ヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸は軟骨の構成成分として軟骨の中にも存在する物質です。

はじめのうちは一週間に一度ヒアルロン酸を注射して、その後の経過を診て、注射回数を増やしたり減らしたりします。
しかし、痛みが消えても変形性膝関節症が治ったわけではないので、継続的に注射をし続ける必要があります。


薬物療法は確かに、腰や膝などの関節の痛みには有効です。
しかし、その高い効果の裏には強い副作用もあるので、使う場合はその光と影をしっかりと認識しておくことをおすすめします。

薬物療法の光と影の詳細を見る

外科的治療

ひざの痛みがいよいよ酷くなってきたら、外科的治療、すなわち手術が必要になる場合もあります。
しかし、手術といえど、手術をしたからといってひざの痛みが完全に治り、その後はずっと快適に過ごせるかといえばそうではありません。

手術にはいろいろな種類のものがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
そのメリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。

手術の種類とそれぞれのメリット・デメリットなどの詳細を見る

関節へのダメージが深刻な場合に行われる「人工関節置換術」という外科治療があります。
これは、損傷の激しい骨を矯正して人工関節に置き換える手術です。

「人工関節に置き換えてしまえば、痛みともオサラバして、快適に暮らせる!」
と思うかもしれませんが、そうはいきません。

なぜなら、せっかく体内に入れた人工関節は一生使えるわけではないからです。
十数年後には再び手術をして、新しい人工関節に取り替えなければならないのです。

人工膝関節の合併症について詳しく見る

まとめ

膝などの関節が健康であることは、すなわちこれからも健康であると言っても過言ではありません。

関節に痛みが生じると、どこへ行くのもおっくうになってしまい、最悪寝たきりになってしまいます。

だからこそ、ひざが痛む原因と要因を知り、対策をすることが大切です。

それも「今から」することが大切です。
何事にも「遅い」ということはありません。
また、ひざ痛対策に「早すぎる」こともないので、痛みがない人も予防として忘れず対策しておきましょう。

適度な運動をして、必要な栄養素を補い、しっかりと休息をとることにより、ひざの痛みを予防・改善することができます。

今から対策を初めて、快活な毎日をおくりましょう。

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